星の子

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星の子はいつも不思議に思っていました。
遠くの空に見えるその青くてきれいな星が夜になるといつもキラキラと光るのです。
その光がなんなのか、星の子は確かめに行くことにしました。
キラキラ光るもの。
それは街の灯?
でもちょっと違うみたい。
ひょいひょいと人混みをすり抜けるようにして飛ぶ星の子。でも街の灯が明るすぎて星の子に気づく人は誰一人いません。
星の子は街を抜け山里へとやってきました。
辺りは真っ暗闇。
すると行く手にチカチカ光る灯が見えました。
それは無数の蛍でした。
そうか、あのキラキラは蛍だったんだ。
星の子は蛍たちと一緒に遊びました。
ふと気づくと、川原に老婆が立っていました。
川にそっと灯籠を浮かべた老婆の頬をキラキラと光るものが伝いました。
その時、星の子は思い出したのです。
お母さん!

老婆はゆっくり空を見上げました。
夜空に小さな星がひとつ、きらきらと瞬いていました。
ファンタジー
公開:18/03/04 22:11
更新:19/04/15 18:39

杉野圭志

元・松山帖句です。

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