魔王の喫茶店

とある塔に魔王が作った喫茶店があるという噂を聞き、興味半分で行ってみた。街の近くの塔の二階で、こんなところに？という場所。扉の前で行ったり来たりを繰り返した後、決心してドアを開けると「お帰りなさいませ」という言葉と共に、鬼の女の子が目に入った。
店内を見渡すと、座席は勇者や冒険者らしい格好をした客で埋まっており、男性には女性の、女性には男性の魔族や鬼が接客をし、全員が楽しそうにしていた。
席につくと先程の子が「魔王が勇者や冒険者と争いをしたくなくて、ここを作った」こと「気に入ったらいつまでいても構わない」こと等々、店について教えてくれた。
暫く店内で過ごしていると、世間では魔王に挑み亡くなったとされる人の名前が呼ばれている事に気が付いた。
嫌な予感がし、すぐに会計を済ませて退店。街に戻ると、既に数年が経過していたこと。噂には続きがあり、行ったら帰れない「冥土喫茶」と呼ばれている事を知った。