恋する揚げパン

私は揚げパンが大好きだった。
小学生の頃、給食で人気だったあのパン。

急に揚げパンを思い出した私は、導かれるように近所のパン屋さんへ。

「恋する揚げパン？なんだか可愛らしい名前！」

そのパン屋さんで見つけた揚げパンにはなんとも可愛らしい名前がつけられていました。私は”恋する揚げパン”にすっかり夢中になってしまい、毎日会社帰りに買っていくように。

そんなある日いつものパン屋さんへ行くと、作りたての揚げパンを職人さんが並べていることに気がつきます。

「その揚げパンすっごく美味しいです！私いつも買っちゃって！名前も可愛いし！」

興奮した私は思わずそう話しかけてしまいました。
その職人さんは微笑みながら

「ありがとうございます！実は昔好きだった女の子が美味しそうに揚げパンを食べていて、それが頭から離れなくて作っているんですよ。」

と言い、私はその笑顔に懐かしい面影を感じたのでした。