モウシワケナサ草
0
208
「あ、『モウシワケナサ草』だ。」
植物園で少年が何かを見つけた。
弟が横から口を出す。
「これは、おじぎ草だよ。」
弟の突っ込みをよそに、少年は得意げに続ける。
「違うよ。『申し訳なさそう』に引っ込むから『モウシワケナサ草』なんだ。ニュースでもやってるだろ?浮気だなんだって謝罪会見を開いて、いかにも申し訳ないって顔した芸能人が、数ヶ月後には、それを逆手にテレビに出まくる。こいつらも、今こうして突っついても、30分後にはすっかり元通りになるんだ。そっくりだろ?」
「へ〜にいちゃん、うまいっ!」
「だろ?」
二人は笑いながら、次々に葉を突いていく。おじぎ草は、あっという間に小さくなってしまった。
「そろそろいこうぜ。」
少年達は帰ろうとした。そのとき。
「アイテニスルノハヨソウ。」
後ろから声がした。
振り返ると、萎んだままのおじぎ草が、静かに佇んでいた。
植物園で少年が何かを見つけた。
弟が横から口を出す。
「これは、おじぎ草だよ。」
弟の突っ込みをよそに、少年は得意げに続ける。
「違うよ。『申し訳なさそう』に引っ込むから『モウシワケナサ草』なんだ。ニュースでもやってるだろ?浮気だなんだって謝罪会見を開いて、いかにも申し訳ないって顔した芸能人が、数ヶ月後には、それを逆手にテレビに出まくる。こいつらも、今こうして突っついても、30分後にはすっかり元通りになるんだ。そっくりだろ?」
「へ〜にいちゃん、うまいっ!」
「だろ?」
二人は笑いながら、次々に葉を突いていく。おじぎ草は、あっという間に小さくなってしまった。
「そろそろいこうぜ。」
少年達は帰ろうとした。そのとき。
「アイテニスルノハヨソウ。」
後ろから声がした。
振り返ると、萎んだままのおじぎ草が、静かに佇んでいた。
ファンタジー
公開:18/03/02 01:30
結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます