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「ワタシ、綺麗?」
寝室の照明を切って床に入ると、誰かが俺に問いかけてきた。
「ああ、綺麗だよ」
翌朝、声をかけてきたのはサイドテーブルの花瓶に挿した一輪の薔薇だと気がついた。薔薇は毎夜、寝入りに問いかけてきた。
「ワタシ、綺麗?」
「ああ、今日も綺麗だ」
暗闇の中で言って聞かせる。
七日後の朝、薔薇は萎れていた。夜、帰宅してネクタイを外しながら目をやると、花びらは変色して縮れ、水は茶色に濁っている。花の世話など俺の仕事ではない。明日は木曜だ。週に二度の可燃ごみの日なので、生ごみと一緒にごみ袋へ入れて縛り、台所の隅に置いた。
ベッドに入ると壁の向こうから大声がする。
「ねぇ、ワタシ綺麗?」
「ああ、綺麗だよ」
俺はベッドから出て、ゴミ袋を助手席に乗せて車で家を出た。そして妻や妻と関係を持った男たちを埋めた山に行き、おしゃべりな薔薇を棄てて帰った。
またどこかから声がする。
寝室の照明を切って床に入ると、誰かが俺に問いかけてきた。
「ああ、綺麗だよ」
翌朝、声をかけてきたのはサイドテーブルの花瓶に挿した一輪の薔薇だと気がついた。薔薇は毎夜、寝入りに問いかけてきた。
「ワタシ、綺麗?」
「ああ、今日も綺麗だ」
暗闇の中で言って聞かせる。
七日後の朝、薔薇は萎れていた。夜、帰宅してネクタイを外しながら目をやると、花びらは変色して縮れ、水は茶色に濁っている。花の世話など俺の仕事ではない。明日は木曜だ。週に二度の可燃ごみの日なので、生ごみと一緒にごみ袋へ入れて縛り、台所の隅に置いた。
ベッドに入ると壁の向こうから大声がする。
「ねぇ、ワタシ綺麗?」
「ああ、綺麗だよ」
俺はベッドから出て、ゴミ袋を助手席に乗せて車で家を出た。そして妻や妻と関係を持った男たちを埋めた山に行き、おしゃべりな薔薇を棄てて帰った。
またどこかから声がする。
ホラー
公開:18/02/28 23:57
更新:18/03/01 19:07
更新:18/03/01 19:07
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