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「シロを宜しくね。心配なの」
祖母の最後の言葉は
私ではなく、愛猫へ向けたものであった。
家の庭には草花や椿の古木がある。祖母が大切にしていたものだ。
私は祖母を想い、よく庭に降りるようになった。
シロもまた祖母を想い、よく啼くようになった。
その啼き声は私を苛立たせた。
通夜葬式の慌しさが一段落したある日、庭で卵大の石を見つけた。
気が付いたら拾ってシロに向けて投げていた。
――ゴッ。
彼女は私を睨むと、座敷の奥へと消えた。
赤い血で隈取られた金色の瞳は恨めしそうであった。
石のせいかは定かでは無いが、シロはそれから間もなく死んだ。
亡骸は椿の根元に埋めてやった。
一年が経とうとする頃、
庭に居た私はふと視線を感じ、椿の古木に目を向けた。
――ぽたり。
赤い点が落ちた。椿の蕾である。
――ぱちり。
血のごとく赤き瞼が開き、金色の瞳が恨めしそうに私を睨んだ。
祖母の最後の言葉は
私ではなく、愛猫へ向けたものであった。
家の庭には草花や椿の古木がある。祖母が大切にしていたものだ。
私は祖母を想い、よく庭に降りるようになった。
シロもまた祖母を想い、よく啼くようになった。
その啼き声は私を苛立たせた。
通夜葬式の慌しさが一段落したある日、庭で卵大の石を見つけた。
気が付いたら拾ってシロに向けて投げていた。
――ゴッ。
彼女は私を睨むと、座敷の奥へと消えた。
赤い血で隈取られた金色の瞳は恨めしそうであった。
石のせいかは定かでは無いが、シロはそれから間もなく死んだ。
亡骸は椿の根元に埋めてやった。
一年が経とうとする頃、
庭に居た私はふと視線を感じ、椿の古木に目を向けた。
――ぽたり。
赤い点が落ちた。椿の蕾である。
――ぱちり。
血のごとく赤き瞼が開き、金色の瞳が恨めしそうに私を睨んだ。
ホラー
公開:18/02/28 23:46
更新:18/02/28 23:46
更新:18/02/28 23:46
【椿あやか】(旧PN:AYAKA)
◆Twitter:@ayaka_nyaa5
◆第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞
◆お問合せなど御座いましたらTwitterのDM、メールまでお願い申し上げます。
◆【他サイト】
【note】400字以上の作品や日常報告など
https://note.com/nekometubaki
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