はちかまど
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裏の畑へ続く、小道に並ぶななかまど。 そこに変な札が立っていた。
「はちかまど」
不思議に思い、畑仕事に勤しむ父の元へ駆け寄る。
「ねえ、ななかまどに変な札がついてる。」
「ああ!あれ、父さんだよ。」
「はあ?なんで。」
「葉子もななかまどの話は知ってるべ?」
「七回焼いても焼けないから、ななかまど?」
「そう。で、父さん、枝を少し拝借して、実験したんだ。したら、ななかまどは8回でも燃えなかった。だから、はちかまど!」
「なにそれ、変なのっ。」
「葉子も、はちかまどくらい強い子になれよ。」
ふと目が覚めると、浅い眠りだったと気付く。幼き日の夢を見ていた。白檀の香りが鼻をかすめ、私は現実へと引き戻される。
父は一年前に癌を宣告され、そこから僅か半年で帰らぬ人となった。
真っ白な灰と、歪な骨の塊。人は、たった一度焼かれれば、灰になる。
それはもう、跡形もなく。
「はちかまど」
不思議に思い、畑仕事に勤しむ父の元へ駆け寄る。
「ねえ、ななかまどに変な札がついてる。」
「ああ!あれ、父さんだよ。」
「はあ?なんで。」
「葉子もななかまどの話は知ってるべ?」
「七回焼いても焼けないから、ななかまど?」
「そう。で、父さん、枝を少し拝借して、実験したんだ。したら、ななかまどは8回でも燃えなかった。だから、はちかまど!」
「なにそれ、変なのっ。」
「葉子も、はちかまどくらい強い子になれよ。」
ふと目が覚めると、浅い眠りだったと気付く。幼き日の夢を見ていた。白檀の香りが鼻をかすめ、私は現実へと引き戻される。
父は一年前に癌を宣告され、そこから僅か半年で帰らぬ人となった。
真っ白な灰と、歪な骨の塊。人は、たった一度焼かれれば、灰になる。
それはもう、跡形もなく。
その他
公開:18/03/02 00:01
結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。
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