カメラの向こう

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もう回ってる?緊張するよ。いつもは撮る側だからさ。昨日近くで発砲事件があったけど店の中なら危険はないさ。武装した連中だって飯は食うからね。なんでこんな仕事やってるかだよね?俺一人じゃ戦争を止められない。でも一枚の写真が戦争を終わらせる事もある。そう信じてるからかな。うん。人が死ぬ所は何度も見てるよ。足が千切れて血がドバドバ出て体がビクビク痙攣して。絶対助からないのに「助けてくれ」って顔で俺を見るんだ。その時の目は凄いよ。生命力の最後の輝きっていうのかな。もうこっちは夢中でシャッター切ってる。そうだね。助けられた人もいたかもしれない。でもその瞬間をフィルムに収めなきゃカメラマンじゃないよ。ん?騒がしいな。言い争いかな?あ、銃を出しやがった。危ない。すぐ店を出よう、早く。ぐわっ!撃たれた!いでええ!血が止まらねぇ!おい!いつまでカメラ撮ってんだ、早く助けろ!があっ!お願いだ。助けて…下さい…。
その他
公開:18/03/01 22:01
更新:18/04/15 17:36
月の文学館 カメラの向こう

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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