カメラの向こう
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ある日、私が父の遺品を整理していると不思議なカメラを見つけた。どこが不思議なのかと言えばファインダーを覗くと未来の景色が見えるのである。カメラの向こうは街の中を無人の車が空中を走り回り、アンドロイドの様な女性たちが笑顔で街を闊歩していた。建物は前衛芸術の様な重力を無視した様な構造をしている。私はふと疑問が浮かんだ。父はこのカメラをどこで手に入れたのだろう。そして、何故このカメラを誰にも見つからない場所に隠していたのか。二番目の疑問はすぐに分かった。この街には人間が一人もいないのである。街頭のポスターや映像を見てもアンドロイドが中心。まさか人間はアンドロイドとして生きる道を選んだのだろうか。確かにアンドロイド化すれば病気になる事はないだろう。でも・・・。私は街外れを訪れた。そこにはホームレス化したアンドロイドが暮らしていた。旧型になった事で使い捨てされた様だ。これは本当に未来なのだろうか。
公開:18/02/27 23:01
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