あの日に花を咲かせましょう
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外は雨。客のいない真夜中のバー。
女性が来店した。ずぶ濡れで目は赤く、訳ありの様子だ。
「まかせる」
「灰ボールはいかがでしょう。忘れていた思い出に花を咲かせる不思議なお酒です」
「今日は忘れていたことだけを話したい」
女性は笑い、俺は乾杯に付き合うことになった。
灰色で濁った見た目だが味は悪くない。
会話は弾み、上京の話、学生時代の恋話、幼い頃の夢物語……二人の歳月を逆行した。
酔いもまわり、話は前世の記憶にまで遡る。
そして、思い出した。ずっと遠い昔に俺たちは恋人同士だったことを。桜木の下で思いを告げ、戦火に引き裂かれ、互いに命を絶った。
彼女の目は真っ赤だ。
「あっ」
グラスの灰ボールを見ると、色鮮やかなピンクだ。薄暗い店内で夜桜のように浮かび上がっている。本当に思い出に花が咲いたときにだけ起きる美しい変化だ。
「きれい……」
あの日と同じ言葉。風に舞う無数の花びらが見えた気がした。
女性が来店した。ずぶ濡れで目は赤く、訳ありの様子だ。
「まかせる」
「灰ボールはいかがでしょう。忘れていた思い出に花を咲かせる不思議なお酒です」
「今日は忘れていたことだけを話したい」
女性は笑い、俺は乾杯に付き合うことになった。
灰色で濁った見た目だが味は悪くない。
会話は弾み、上京の話、学生時代の恋話、幼い頃の夢物語……二人の歳月を逆行した。
酔いもまわり、話は前世の記憶にまで遡る。
そして、思い出した。ずっと遠い昔に俺たちは恋人同士だったことを。桜木の下で思いを告げ、戦火に引き裂かれ、互いに命を絶った。
彼女の目は真っ赤だ。
「あっ」
グラスの灰ボールを見ると、色鮮やかなピンクだ。薄暗い店内で夜桜のように浮かび上がっている。本当に思い出に花が咲いたときにだけ起きる美しい変化だ。
「きれい……」
あの日と同じ言葉。風に舞う無数の花びらが見えた気がした。
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公開:18/02/27 15:23
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そるとばたあ