魔法使い
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ある冬、学校の先生から、町内に不審者が出るから気をつけるように、との話があった。
最近、怪しい人物が民家の庭や花壇で何かをしているらしい。
こんな寂れた町にどうして、とも思ったが、ぼくの家にも猫の額ほどの庭があったので、他人事ではなかった。
ある晩、ぼくが一人で留守番をしていると、庭の方から物音が聞こえてきた。
こっそり見に行くと、ぼろぼろの服を着た老婆が何やら庭でこそこそとしていた。
思わず、あっ、と声を上げると、老婆はすっと消えるように逃げてしまった。
老婆が立ち去ったあとにはいつも通り、世話をする人を失った植木鉢がいくつか置いてあるだけで、特に変わった様子はなかった。
その後、不審者の話は警察沙汰にもなったが結局実態は掴めず、冬が終わるにつれ目撃談はなくなり、住人も老婆の存在を忘れていった。
その春の暖かい日、町中の庭や花壇、植木鉢に色とりどりの美しい花が溢れかえった。
最近、怪しい人物が民家の庭や花壇で何かをしているらしい。
こんな寂れた町にどうして、とも思ったが、ぼくの家にも猫の額ほどの庭があったので、他人事ではなかった。
ある晩、ぼくが一人で留守番をしていると、庭の方から物音が聞こえてきた。
こっそり見に行くと、ぼろぼろの服を着た老婆が何やら庭でこそこそとしていた。
思わず、あっ、と声を上げると、老婆はすっと消えるように逃げてしまった。
老婆が立ち去ったあとにはいつも通り、世話をする人を失った植木鉢がいくつか置いてあるだけで、特に変わった様子はなかった。
その後、不審者の話は警察沙汰にもなったが結局実態は掴めず、冬が終わるにつれ目撃談はなくなり、住人も老婆の存在を忘れていった。
その春の暖かい日、町中の庭や花壇、植木鉢に色とりどりの美しい花が溢れかえった。
ファンタジー
公開:18/02/27 13:11
登場することが趣味です。
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