花束

「第二の人生のスタートおめでとうございます！」
「え！こんなに立派な花束を！」
「山本さん、お疲れさまでした」
「ありがとう、ありがとう」
パチパチパチ
「すごい花束ですね」「誰が選んだのかな～」「新人の若宮君だそうです」
「そうなのか···若宮君、すごい花束だね。予算オーバーだったんじゃないか？」
「予算は大丈夫ですけど···そんなすごいですか？　僕、こういうイベントって経験がないのでこんなもんで良かったのかなぁ～」
「山本さん、すごく喜んでいるよ」「どこで買ったの？」
「駅ビル２階にある花屋さんに先週頼んでおいたんです」

「···ね～、若宮君···」
「何？杉山さん」
「みんなすごいって言っているけど···あの花束ってそんなにすごい？」
「杉山さんはそう見えるんだ！」
「だって花が数えるほどしか···」
「実は花屋さんがね、『心のきれいな人には見えない花です』って言っていたんだよ」