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「もう、来年の桜を観ることはできないかもしれないね」
そう言われたことを、ふと思い出した。
私自身、それは覚悟していた。たぶんそこまでは、もたないだろうと。
しかし、奇跡というのは起るものだ。冬からの気候変動が良い方向へ影響してくれたのか、今年の桜の開花は驚くほど早かった。
今、私の前に満開の桜がある。
薄桃色の雲が湧き立つように広がっている。
「きれいね」
妻が言った。
「ああ、きれいだ」
私は答えた。
「一緒にまた、桜を見ることができて、嬉しいよ」
そう言うと、妻は微笑んだ。涙がその微笑みを洗い流していく。
私は桜をもう一度見上げ、そして、さらに上を見た。
青い空に、くっきりと浮かぶその姿。
禍々しく巨大な彗星は、間もなく地球に衝突する。
そう言われたことを、ふと思い出した。
私自身、それは覚悟していた。たぶんそこまでは、もたないだろうと。
しかし、奇跡というのは起るものだ。冬からの気候変動が良い方向へ影響してくれたのか、今年の桜の開花は驚くほど早かった。
今、私の前に満開の桜がある。
薄桃色の雲が湧き立つように広がっている。
「きれいね」
妻が言った。
「ああ、きれいだ」
私は答えた。
「一緒にまた、桜を見ることができて、嬉しいよ」
そう言うと、妻は微笑んだ。涙がその微笑みを洗い流していく。
私は桜をもう一度見上げ、そして、さらに上を見た。
青い空に、くっきりと浮かぶその姿。
禍々しく巨大な彗星は、間もなく地球に衝突する。
公開:18/02/28 10:41
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