花より団子

「花味をしようか」
ある日の事、暇を持て余していた僕におじいちゃんが提案した。
「花を見るより、何か食べたい」
「違う違う、花の味を楽しむんだ」
花の蜜を吸ったことはあっても、花を食べたことは無い。一体どんな味がするのだろうかと、僕は興味を持った。

「ワシのおススメはこれだ」
わくわくしながら、おじいちゃんに手渡されたタンポポを食べる。と、口の中に程よい酸味と控えめな甘さが広がった。
僕は未知の味を占めて、今度は自分で花を探し始めた。黄色、赤、青と、次から次へと花を食べていく。
ガーベラは梅干しより酸っぱくて、ハイビスカスはプリンよりも甘い。どれもこれも、今まで食べたことがないような美味しい味がした。
でも、なんだか物足りない。
その時、お母さんが僕たちを呼ぶ声がした。
「二人とも、おだんごが出来たわよ」
だんごを食べてやっと気がついた。花ではお腹がふくれなかったのだ。