同い年の硬貨(タカシとアケミ)
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タカシは落とした10円玉を諦めきれず、毎日下を見ながら高架下を歩いた。
ふいに、目の前に人影が現れた。
「何やってるの?なんか探してるの?」
アケミだった。
「ボクの20年を探してるんだ」
「は?」
「10円玉さ。生まれた時からずっとお守りに持ってたんだ」
「それって…」アケミが先日拾った10円玉を見せる。「これ?ここで拾ったんだけど」
「あ、ボクと同じ歳の10円玉!」
「うん、私と同じ歳の10円玉だから、つい、持って帰っちゃったんだけど」
「親父が、産まれた時にくれたんだ。ずっと探してたんだ。ありがとう」
『この10円玉はタカシの人生そのものなんだね』
『うん、そうだよ、そして今日からはボクたちの人生になる』
…などという甘い展開にはならず、10円玉は相変わらずタカシのポケットの中だ。
いつか子供ができたら、その年製造の10円玉を探そう。そいつはどんな人生を見ていくのだろうか。
ふいに、目の前に人影が現れた。
「何やってるの?なんか探してるの?」
アケミだった。
「ボクの20年を探してるんだ」
「は?」
「10円玉さ。生まれた時からずっとお守りに持ってたんだ」
「それって…」アケミが先日拾った10円玉を見せる。「これ?ここで拾ったんだけど」
「あ、ボクと同じ歳の10円玉!」
「うん、私と同じ歳の10円玉だから、つい、持って帰っちゃったんだけど」
「親父が、産まれた時にくれたんだ。ずっと探してたんだ。ありがとう」
『この10円玉はタカシの人生そのものなんだね』
『うん、そうだよ、そして今日からはボクたちの人生になる』
…などという甘い展開にはならず、10円玉は相変わらずタカシのポケットの中だ。
いつか子供ができたら、その年製造の10円玉を探そう。そいつはどんな人生を見ていくのだろうか。
その他
公開:18/02/27 12:14
更新:18/02/27 18:58
更新:18/02/27 18:58
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