桜からの警鐘
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夜中に目が覚めた。すぐにスマホがないことに気付く。きっと花見をした公園だ。僕は慌てて家を飛び出した。
暗い公園に着き、宴会をした桜の下まで行くと、見知らぬお婆さんが僕のスマホを持ち立っていた。
「あのそれ……」
お婆さんはスマホを手にしたまま僕を見た。
「お婆さん、何をしてるんですか?」
「何ってずっとここにいるよ。なんせ私は桜だからね」
「桜さんて言うんですか」
「いや名前と言うか、桜の木そのものなんだわ」
どうやらおかしな婆さんに話しかけてしまったようだ。しかし美しい桜とは似ても似つかない容姿だ。
「私も昔は綺麗だったんだけどね」
心を読まれた?
「女は見られて綺麗になると言うからね。そうだ、私はここであんたらの事を見ていたよ」
「はあ……」
「あんたら花見だっていうのに、花を見ずにずっとこれに夢中だったじゃないか」
その時、桜吹雪が舞い上がり、お婆さんはスマホと共に消えてしまった。
暗い公園に着き、宴会をした桜の下まで行くと、見知らぬお婆さんが僕のスマホを持ち立っていた。
「あのそれ……」
お婆さんはスマホを手にしたまま僕を見た。
「お婆さん、何をしてるんですか?」
「何ってずっとここにいるよ。なんせ私は桜だからね」
「桜さんて言うんですか」
「いや名前と言うか、桜の木そのものなんだわ」
どうやらおかしな婆さんに話しかけてしまったようだ。しかし美しい桜とは似ても似つかない容姿だ。
「私も昔は綺麗だったんだけどね」
心を読まれた?
「女は見られて綺麗になると言うからね。そうだ、私はここであんたらの事を見ていたよ」
「はあ……」
「あんたら花見だっていうのに、花を見ずにずっとこれに夢中だったじゃないか」
その時、桜吹雪が舞い上がり、お婆さんはスマホと共に消えてしまった。
ファンタジー
公開:18/02/27 04:26
更新:18/02/28 20:30
更新:18/02/28 20:30
料理屋の当主、ソムリエ、三姉妹の父。
第15回坊ちゃん文学賞ショートショート部門大賞
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