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「別れましょう」

 久しぶりのデートの最後に訪れた展望台のある丘の上の公園で、思い詰めた様子の彼女はそう切り出した。

「あなたの……情熱に負けて、言い出せないまま今日まで来ちゃった。ごめんなさい。だけど……」

 僕の目の前で、彼女の体が滲むように変容してむくむくと膨らむと、大きな毛の塊へと変わった。

「……人間と妖怪が幸せになれるわけ、ない」

 そう言った彼女は、微かに身を揺すった。悲しそうに。

 深呼吸を一つ。

 僕はその愛すべき茶色い毛の塊を、黙って力一杯に抱きしめた。
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公開:18/02/27 00:03

木船田ヒロマル

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