どの子がほしい

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『ーーちゃんがほしい』

不意に告げられた自分の名前に、身体は硬直した。
拒否権はない。それが私たちの決まりで、仕方のないことだった。
みんなも私にはもう興味がなくて、次に来る子のことばかり考えている。
こうして心を痛める私だって"向こう"に行ったら行ったで相応に馴染んでしまうのだろう。
そういうものなのだ。

あぁ、そうか。あの子も私と同じように呼ばれてしまったのか。
だけど、あの子はきっと大丈夫。諦念混じりの私より、ずっといい目をしている。
選ばれるのは私に違いない。


見立て通り、あの子ではなく私が"向こう"へ渡ることになった。
だからといって何かが変わるわけでもない。
今までいた場所の対岸で、同じようにこう言う。
ただそれだけだ。



『勝って嬉しいはないちもんめ』
その他
公開:18/02/26 11:12

おかだ

大学生。楽しいことを思いつくと嬉しい。

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