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喉の渇きを感じて目を覚ます。目は覚めたが身体は動かず、いつからこうしていたのかもわからない。
ふいに死がすぐそばまで迫っていて、エリカの足首を掴みそうな気がした。

いや、違う。この感触は実際に何かがエリカの足首を掴んでいる。荒縄のようなもので縛られているのか。
今、自分の身に起きていることが把握できない。ぼんやりとした意識の中で光を探す。

こうなる前はもっと明るい場所。そう外にいた。ポカポカと注ぐお日様の下で友達のかすみと春の和らかい風に吹かれていた。
陽の光をさえぎるように黒い影が落ちてきて意識を失ったのだ。

覚えのある香りが風に乗ってきた。
友達の香りに似ている。一人じゃないという安心感から再び遠ざかる意識の中で、聴こえるはずのない声が聴こえた気がした。
「店長。ヒースとカスミソウはどこに吊るしますか?」
「ミモザの隣でいいわ。吊るしておくだけできれいなドライフラワーになるのよ」
ホラー
公開:18/02/24 17:00
更新:18/03/11 19:22

水田村(みたむら)

ご無沙汰しておりました。リハビリ中につき日記のようなものしか出ませんがよろしくお願いいたします。
Twitterアカウント(@mitamura2018)

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