純粋なる願い=残酷な欲望

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彼の生い立ちは、口にする事すら憚れる程、悲惨なものだった。取り巻く環境はおろか、両親ですら彼に微塵も愛情を与えなかった。そんな彼に、最後のひと刺しとでも言うのか、病魔が遅いかかり、僅か14年の人生に終焉が近づいていた。
「神様はいないのかな?僕の最後の願いは聞いて貰えないかな」
しかし、神は聞く耳を持たなかった。だが、憐れみの天使だけは違った。彼女は神の忠告を無視して、彼の耳元で囁いた。
「あなたの願いを一つだけ叶えてあげましょう」
彼は大粒の涙を零し喜んだ。それから、こんな願いを口走った。
「この世界は汚いものばかりだから、綺麗なもので満たしたい。冷たい雨でなく、空から花々が降り注いだら良いのに」
天使は願いを叶えた。その日から、地上に降り注ぐのは美しい花だけになった。しかし、土地は乾き、植物は枯れ、飢餓と疫病が人々を襲った。死骸の山を隠す様に、瑞々しく鮮やかな花々だけが舞っていた。
ホラー
公開:18/02/24 07:42
更新:18/03/18 08:57

nanaki

小説と、それに合わせた写真を撮っています。

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