部屋干し

「ただいまー」
玄関を開けた瞬間、強烈な臭いがした。
「うわ、なんだこの臭いは」

「ごめんごめ～ん、今日雨が降りそうだったから部屋干しにしちゃったの」

気持ちはわかる。せっかく干している最中に雨が降ったんじゃやりきれない。
しかし、だからと言って部屋干しするのもどうかと思う。

「今日じゃなきゃダメだったのか？干すの」
答えはわかっているが一応聞いてみる。

「なによ、あなたが今日帰ったら必要って言ったから、わたしも無理を承知で干したんじゃない」
妻がキレ気味に言う。

え？あれ？
あ、そうだった。
昨日酔っ払った勢いで、つい、言ってしまったんだっけ。
『明日、自家製のサンマの一夜干しが食べたいニャー』