二階から目薬

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 とうとう待ちに待った日がきた。二階建ての家を買ったのだ。なぜかって?そりゃあ、二階から目薬をさすためだよ。必死になって働いて念願の二階建てを手に入れた。このために全てを犠牲にして働いてきたんだ。
 私は薬局に目薬を買いに行った。それもうんとスースーするやつを。私の足取りは非常に軽かった。目当てのそれを買うと、家に向かった。帰る途中、道端に咲く花が目にはいった。スミレの花びらには涙ほどの雨粒がキラキラと光っていた。いつもなら気付かないであろう小さな幸せに私は気付くようになっていた。
 家に着くと、早速準備に取りかかった。目薬の箱を空け、二階に行った。しかし、よく考えてみれば一人では目薬を二階からさせないではないか。私はその事に今気付いた。妻も私にはいない。全てを犠牲にしてきたのだから。そのとき私の目からは雨粒ほどの雫が頬をつたり儚く輝いた。それは決して目薬とはちがうしょっぱいものであった。
その他
公開:18/02/25 00:54
更新:18/02/26 08:15

イチゴ

よろしくお願いします。

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