自ペット栽培

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自分栽培技術を開発したとき、私は特許を申請しなかった。
自分からトマトが生えているだけで幸せだったから。

それが間違いだった。

技術はあっという間に解析され、人間以外の動物の毛穴でも育てられるように改良された。さらにトマト以外の植物も開発された。

『ワンちゃんの首周りに可愛いミニトマトを』
『歩くたびに足元で苺が揺れます』

あっという間にペット産業でブームとなった。人々は競うようにペットの毛を抜き、そこに植物を植え、街中を連れまわした。

やがて、海辺のリゾート地でペットがカモメに襲われる事件が多発した。続いて、街中でもペットがカラスに襲われるようになった。新鮮な餌が歩いているのである。放っておくわけがない。

とうとう政府により自ペット栽培が規制された。合わせて自分栽培も禁止となってしまった。

仕方なく私は人里離れた山奥に引越し、ひっそりと自分栽培の闇栽培を続けている。
その他
公開:18/02/23 10:24
自分栽培

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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