外人どころじゃない

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「外人に生まれたかった」
授業中に教科書も開かず机の上であぐらをかいているあんたは、異国の人いや異星人だよ、というツッコミをぐっと堪えて亜利沙は冷静なる顔で優奈に返す。
「外人から見たらあんたが外人だよ」
「あ、そうじゃない」
「何が?」
教師が黒板へ書く手を止め、こちらを振り向くと、亜利沙はすぐさまノートをとるフリを始めた。しかし、優奈は相変わらずのポーズを取ったままだ。
「見た目が外人ってこと。生まれは日本人で良いんだけど見た目が外人になりたいの」
「なにそれ。どういう意味よ。おでんなんだけどオムライスなの、って言われるくらいの難易度よ。生まれが日本人ならどう頑張っても日本人でしょ」
「………え?何それ」
「こっちが聞きたいわ」
苛立ちが声に出てしまい、慌てて亜利沙は口を押さえる。
「もう、あんたの所為で大きな声が出ちゃったでしょ」
「え?別に良いんじゃない?私達幽霊なんだし」
その他
公開:17/09/23 17:00

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