四つ足の秋

今年も秋がやって来た。でも、今年の秋は去年とは違う。足が四本も生えている。秋に足が生えているのに気付いたのは、去年のこと。でもその時は確か二本だったのに、今年は四本に増えていた。でも僕以外に足が見えている人はいないみたいで、秋の足に引っかかってつまずいたり、転んだりしても、誰も秋の足のせいだなんて思っていない。僕には秋の足が見えているけど、そんなに嬉しい訳じゃない。いいことといったら、引っかからずに済むことくらいで、脚線美とは程遠い短くてスネ毛が密生している足が時々見えて、むしろ気が付かなかった方が幸せだったと思う。一番好きな季節だが、今年は足が増えた分、足早に過ぎ去ってしまうのだろうか。