酔っ払いマイク

マイクのスイッチを入れた。
今日は新商品発表のプレゼンである。
商品の特徴やセールスポイントは事前にちゃんと整理して暗記してある。
ここまで来る準備は大変だったが、このプレゼンが成功すれば全て報われるはずである

「本日は」
「この野郎！ちゃんと聞けや」
「雨の中お越しいただき」
「聞いてんのか？おい」
「誠にありがとうございます」
「そこのお前、こっち見てちゃんと聞けや」

喋っている本人には酔っ払いマイクの声は聞こえない。

「それでは新商品の説明を始めさせていただきます」
「なあ、お前こんなもん売れると思うか？」
「この商品は今までにない画期的な製品で」
「なあ、どこの誰がこんなもん売ろうと考えるんだよ？」

酔っ払いマイクがべらんめえ調で喋りまくっている

・・

プレゼンが終わった。みんなが温かい目でこちらを見て拍手してくれている
うまくいったという幸せな気分でいっぱいである