人を選ぶバイオリン

クラシック界でこんな噂がある。
人を選ぶバイオリンが存在すると。それはバイオリンが意思を持ち、どんなに上手い演奏をしても気に入らなければ音を出さないというのだ。仮に音が出ても響きが悪かったりまた音が出なくなったり、はたまたいなくなってしまう超気分屋である。その代わり、バイオリンに認められればこの世で最高の音を奏で全ての人々を魅了出来ると。
そんな崇高なバイオリンとは露知らず、「お母さん、このバイオリン弾いても音が出ないよ。新しいの買って」とリオが言ったその時、最高の音が響き渡った。
バイオリンも寂しかったのだろう。