綿菓子の冬

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ー国文寺にある大銀杏の葉が全て落ちるとその冬は綿菓子の雪が降るー

その言い伝え通り、大晦日の夜にそれは舞い降りた。町は甘い匂いに包まれ、子どもたちがこぞって口を開けて空を仰ぐ光景がそこかしこで見られる。
百年に一度起きるといわれるこの奇妙な天からの贈り物は、大人の心までも無垢な白に染め戻し、冬の厳しい寒さを一時の間忘れさせた。
ただ、毎日綿菓子を食べ続けていると、いかに甘味好きでも飽きがくるのが人間というものだが、心配はいらない。
綿菓子がやむと、じきに雪は塩せんべいに変わるのだから。
ファンタジー
公開:17/10/29 16:47

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