イチョウ倶楽部

11
185

中学2年生の5月、「全員が部活動に加入する」という新しい決まりに困惑した。今まで帰宅部のエースだった僕は、年に2回の活動しかないイチョウ部に入部した。

何もわからないまま、6月に1回目の活動の日が来た。僕はそこで初めてイチョウの葉の形が全てが手作業だということを知った。先輩たちに教えてもらいながら校内のイチョウの木に登り、正方形の葉をハサミで扇型にし、切り込みを入れ、イチョウの形に整えた。
夏の終わりに2回目の活動の日が来た。全てのぎんなんに「におい液」を注入していくというものだった。
左手ににおい液のビーカー、右手に注射器を持って、ぎんなんににおいをつけていく。初めての作業でうまくいかず、におい液が手についてしまい大変だった。

やがて秋が訪れた。僕達のイチョウは鮮やかな黄色に染まった。ぎんなんのツンとした匂いが漂う落ち葉の絨毯の上を歩きながら、僕は来年もイチョウ部を続けようと思った。
青春
公開:17/10/28 16:58
更新:18/06/01 19:04

ぱせりん( ひろしま )

北海道出身です。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容