つかれがとれるペン

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小さな町の工場で発明された「つかれがとれるペン」は画期的だった。

このペンを手に取ると、体内のストレス物質がペンに吸収され黒いインクに変わる。
体からはストレス物質が消費され、書けば書くほど疲れが取れるという謳い文句だった。

「職場が穏やかになった」
「勉強がはかどりました」
「一度使ったら手放せません」
この商品は大ヒットし、文具大賞を受賞し、全国に広まっていった。

ところが、ある時からペンからインクが溢れ出すという苦情が出るようになった。不況のあおかりを受けて、人々のストレスは急激に増大し、有り余るストレスをペンが処理しきれなくなったようだった。
その後、工場では苦情の電話が鳴り止まない日が続いた。

やがて、工場のパイプからはインクが吹き出し黒い川となった。流れ出たインクは海までも黒く染めていった。そして、ストレスがあふれた街では黒い雨が降り注ぐようになった。
SF
公開:17/10/24 11:11
更新:18/06/01 19:05

ぱせりん( ひろしま )

北海道出身です。

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