発電生物

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友達のヒロキの家に遊びに行ったときのこと。ぼくはリビングで電気コードがたくさんつながっている不思議な水槽を見つけることになった。ヒロキに聞くと「あの中には電気ウナギをヒントに発明された、ある発電生物が入ってるんだ」と教えてくれる。よく目をこらすと、そこにはなんとタコがいた。ヒロキは得意げに「これは電気タコと言ってね。ほら、タコ足配線っていう言葉があるだろ? これは8本足から電気がとれる、本物のタコ足配線というわけさ」と言う。そして「でも、とっても便利なタコなんだけど、一度にたくさんの電気を使うのだけはやっちゃダメなんだ」と言うヒロキにぼくが理由を聞くと、彼は一言、こう口にする。「熱くなって、真っ赤なゆでダコになっちゃうんだよ」
SF
公開:17/08/26 21:07

田丸雅智( 東京 )

1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。現代ショートショートの旗手として執筆活動に加え、坊っちゃん文学賞などにおいて審査員長を務める。また、全国各地で創作講座を開催するなど幅広く活動している。17年には400字作品の投稿サイト「ショートショートガーデン」を立ち上げ、さらなる普及に努めている。著書に『海色の壜』『おとぎカンパニー』など多数。

◆公式サイト:http://masatomotamaru.com/

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