伝わらない

居酒屋「エイリアン」。
わしは店の暖簾を潜った。
「いらっしゃいませ。何にしましょう？」
「えーっと。最近、忘れっぽくていかん。居酒屋で真っ先に注文する定番のゴクゴクいくの頂戴。ジョッキに入って」
「かしこまりました」
しばらくして店員が持ってきたのは———。
「なにこれ？」
「鳥の唐揚げです。ジョッキでどうぞ」
「いや、飲めないよ！油飲めってか？」
「違いました？」
「違うよ！ゴクゴク、プハーのだよ」
「あっ！かしこまりました」
しばらくして店員が持ってきたのは———。
「えーなにこれ？血？」
「いえ、キムチです。プハーって火を噴くんですよね？」
「違うよ！大体、キムチで火を噴ける？」
「大丈夫！ハバネロの５倍の辛さの唐辛子使ってます」
「死ぬよ。そうじゃなくて、クロクロ？違うか……」
「あ、ビールですか？」
「クロクロなの？」
「うちの星ではそうです」
「どこの星？」
「サッポロです」