リバーサイド・ダイアリー

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ある夏の日。
僕は故郷に帰省し、実家近くの川原で石ころを蹴りながら歩いていると、足元で紙の入った茶色の小瓶を見つけた。
小瓶を拾い上げ、中の紙を取り出して広げると、それは手紙だった。
その手紙には、子供のようなぎこちない鉛筆書きの字でこう書かれていた。

「この川、最近汚い。ごみがいっぱいで泳げない。昔は魚がはねていたのに、今はプラスチックと油ばかり。これを読んだだれか、なんとかしてくれ。たのんだ。」
手紙には署名がなく、いたずらにしては切実な内容だと感じた。

その時だった。何かの視線を感じて振り返ると、川の岩影に一瞬、緑色の何かが見えた。
その出来事に、僕は強烈な既視感を覚えた。
子供の頃にも、あの緑色の何かを見たことがあった。
きっとそうだ。そうに違いない。
そして、僕はこの川を綺麗にしようと誓い、近所の店で買ったキュウリを小瓶に差し、川原を後にした。
その他
公開:25/09/17 00:33

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