お久しぶりです

「お久しぶりです」
長い夏が終わり、やっと秋がやってきた。
私は再会もそこそこに、秋の味覚を我が家に迎え入れる。のんびりしていたらすぐに冬がやってきてしまう。今しか食べられないものを味わっておかなければ。
梨、葡萄、栗。山の味覚は毎日でも食べたい。
秋刀魚、鰹、鮭。脂ののった美味しさが全身を泳ぎ始める。
年に一度の贅沢だと松茸様もお迎えする。丁度、日本酒も届いたところだ。飲まないと失礼というもの。
ご飯は当然、新米。銘柄を取り揃えては食べ比べをする。
食欲の秋。舌鼓という太鼓を鳴らし、毎日がお祭り気分。
来るもの拒まずで美味しいものを食べ続ける。秋は短し食せよ乙女！
「お久しぶりです」
体重計に乗った私に、夏前に落としたはずの脂肪が声をかけてきた。
お前も帰って来たんか…