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このあいだまで見事な黄金色に染まっていたイチョウの葉がすっかり落ちてしまい、向こう側の空が見通せるようになっている。きのうの夕方から吹き荒れた強い風のせいだろう。竹ぼうきで集めた落ち葉はうず高い山になり、自分がこどもなら、このなかにためらいなく飛び込んでいただろうと想像して苦笑いした。枝に引っかかる半透明の糸を見つけたのは、そんな時のことだ。
雲間からのぞいた陽の光を反射し、糸はキラキラきらめいている。蜘蛛の糸かと思いきや上空に立ちのぼっていて、その先には膨らませた風船のような白い雲がぷかぷか浮いていた。わたしの目線に気づいたのか、遥か高いところから、やさしいぬくもりに満ちた声が降ってきた。
「お願いします、その子を助けてください」
「わかりました。少しお待ちくださいね」
枝に絡まった糸を外すと、雲はうれしそうに舞い上がった。空は間もなく晴れ渡り、小春日和の気配を漂わせた。
雲間からのぞいた陽の光を反射し、糸はキラキラきらめいている。蜘蛛の糸かと思いきや上空に立ちのぼっていて、その先には膨らませた風船のような白い雲がぷかぷか浮いていた。わたしの目線に気づいたのか、遥か高いところから、やさしいぬくもりに満ちた声が降ってきた。
「お願いします、その子を助けてください」
「わかりました。少しお待ちくださいね」
枝に絡まった糸を外すと、雲はうれしそうに舞い上がった。空は間もなく晴れ渡り、小春日和の気配を漂わせた。
ファンタジー
公開:25/11/30 12:47
更新:25/11/30 18:39
更新:25/11/30 18:39
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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いちいおと