感謝
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通りかかった病院の前に、『ご自由にお持ちください。』と書かれた箱があって、その箱の中に、手術に失敗した人たちの死体が山と積まれていた。今日、営業をさぼって、ずっと、マンガ喫茶で医療物のマンガを読んでいた俺は、その中の一体を持ち帰った。医療マンガを読んだ知識で、俺が手術をし直し、生き返ったら、感謝されると思ったのだ。俺は誰かに感謝されたかった。しかし、家に持ち帰って包丁やガムテープで手術をしてみたが、死体は生き返らなかった。やはりマンガの知識じゃダメなのかもしえれない。俺はよりぼろぼろになったその死体を、ゴミ捨て場に捨てて、眠った。明け方頃、すさまじいカラスの鳴き声で目を覚ました。窓からゴミ捨て場を見ると、死体をカラスが食っていた。カラスは俺に感謝すべきだ。
ホラー
公開:25/12/01 07:56
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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六井象