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 猫用ドリンク「ニャンどこ?」を購入した。猫は液体のように体が柔らかいというが、このドリンクを飲めば猫が気体になるという。
 うちのミーちゃんに飲ませると、茶色と黄色の部分が薄く見え辛くなり、広がって宙に浮いた。これなら会社に連れて行っても見つからない。そう確信した。
 会議中、頭の周りにはミーちゃんが毛繕いをしているのが僕だけに分かる。部長は「君の周り、空気濁ってないか?」と疑うが、「タバコ吸ってきたので」と言い訳した。
「あれ、猫?」
 秘書が僕の頭を指して言った。頭の上には茶色と黄色が濃くなってきている。効き目が切れたのだ。慌てて缶を開け、頭の上に差し出した。ピチャピチャという音が響き、周囲が私に注目する。
「か、乾杯。これ、旨いんですよ」
 慌てて「ニャンどこ?」をごくごく飲んで誤魔化した。すると、僕の手元の色が薄くなり、体も膨らんで浮き始めた。
ファンタジー
公開:25/11/09 23:46

吉村うにうに( 埼玉県 )

はじめまして。田丸先生の講座をきっかけに小説を書き始めました。最近は、やや長めの小説を書くことが多かったのですが、『渋谷ショートショート大賞』をきっかけにこちらに登録させていただきました。
飼い猫はノルウェージャンフォレストキャットです。
宜しくお願い致します

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