放課後ランプ

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真っ暗な中、揺らめいたアルコールランプ。
その柔らかく淡い光に浮かんだ先生の顔を、私は今でも覚えている。

あの頃の私は馬鹿で、バカ校と呼ばれる高校でテストは全部赤点だった。
だからそこで理科の先生と仲良くなるなんて思ってなかった。

先生の正確な歳は知らない。
でも年寄りばっかりの職員室で目立つくらいには若かったし、大学とか出て教員免許取って数年目くらいには年上だった。

先生は別に美人じゃなかった。
女性らしいというより個性的で、誰かがエロ話でちょっとかったら、真面目な顔して事細かにその生理現象について難しい専門用語で説明してくれた。(誰も理解しなかったけれど)

大雨の日。
電車が止まって迎えが来るまで学校に残っていた。
残り数名の所で停電した。

先生はもう使わなくなった数個のアルコールランプを出してきて、火を灯した。

その時の薄明かりに浮かんだ先生の顔を、私は今でも覚えている。
公開:24/05/06 22:27

ぽんず

ぽんずとかねぎとか薬味と調味料。
(整理したSSはNovelDaysにあります)
http://lit.link/misonegi

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