混声の配管

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暗い階段の下方に小さな灯りが見える。階段を降りて通路口を抜けると配管のなかだった。配管は高さ五メートルの大きな管である。左右どちらにも伸びる。主任と俺は配管の壁面調査に降りてきた。レーザー探傷機で壁面の小さな傷でも見つけてはX印を書く。「はじめよう」主任について俺は進んだ。壁にレーザーを当てながら三十分ほど進むと俺は妙な感じがした。「主任、ここはさっき通ったところじゃありませんか?傷に印があります」「先のチームが付けたんじゃないかな」「私の印に似ています」「メビウスの輪みたいにつながっているのか」
主任と俺はレーザー探傷を二の次に、それぞれ反対方向に歩くことにした。管がメビウスならどこかで出会うだろう。逆向きに進み「おーい」「おーい」とかけ合う声が壁面に響く。主任と離れてしばらく進むと向こうから「おーい」と聞こえた。主任のようだが違う声も混じって「おーい」が聞こえた。壁面に混声が反響した。
その他
公開:21/02/23 16:30

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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