佐野さんのクッキー

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 佐野さんが作って来てくれたクッキーは、蓋を開けると動き始めた。
 ムダに動作のかわいい熊さんや兎さんなので、捕まえて食べるのが忍びなくなってしまう。
 自分で作ったはずの佐野さんも、なぜか目に涙を溜めながら、兎さんを捕まえて、ごめんよぉ、なんてしんみりしている。
 これじゃあ、何だかお葬式みたいになってしまっているなぁと思いつつ、クッキーに何を混ぜたの、と尋ねると、佐野さん曰く、「命の粉」とのこと。
 なぜそれを入れたとツッコめば、だって動けばかわいいかなって思ったんだもん、と涙声で佐野さんは訴える。
 私たちのやり取りを知ってか知らずか、クッキー姿の動物たちは、机の上で円陣を組み、自分の身体からクッキーカスを零しながら、よく分からない創作ダンスを踊り始めている。
ファンタジー
公開:20/11/22 07:44
マジックリアリズム 『幻想日和』

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

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