境目通り

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「晴れと雨の境目を見たことはある?僕はあるよ」
友達の圭太が突然そんなことを言いだした。
「えっ!マジ?どこで見れるの?」
「天気町の境目通りだよ」
「行きたい!」
次の日曜日、僕らは天気町に行くことになった。電車に揺られて30分。案外近くだった。
「おー!すげーいい天気!」
 電車を降りて山と田んぼがゆったりと並んでる道を歩く。
「見えた、あそこ。あの道を横切っているのが境目通り」
僕は圭太の後をドキドキしながらついていく。
圭太の言う通りだった。一歩その通りに足を踏み出すと、天から雨が滝のように降ってくる。体を戻すと快晴。
「わー!すげえ!すげえな圭太!」
「亮、来てくれてありがとう」
圭太がにっこりと笑った。
ハッとする。ここは晴れと雨の境目。そして生と死の境目。2年前だった。圭太が天気町に引っ越していったのは。
僕はひとりで来た道を帰った。びしょびしょの髪を太陽が乾かす、夏の日。
その他
公開:20/05/28 11:38
更新:20/05/28 12:54

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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