構想マンション

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 作家として独り立ちし、ようやく念願の高層マンションを手に入れた。とはいえ、低階層なので高層である意味はあまりない。
 静かな環境でゆっくりと考え、よりよい作品を作るために頑張るのだ。
 さて、管理人さんの話だと、このマンションは私と同じような物書きが多いのだという。早速、私の階の住人に声を掛けた。彼は私と同じ作家で、何本も作品を出しているという。さらに話を聞くと、上の階の人たちは自分よりもより高い構想力があると聞いた。
 何か刺激を得られると思い、上の階の人に挨拶にいった。しかし、たくさんのアイデアを持っているという話は聞いても、小説1作しか出していないとか、成果につながる話は聞けなかった。
 さらに上の階にもなると、アイデアだけをずらずらと話すだけの人しかいなかった。

 どうやら上の階の人ほど構想だけは考えているが、行動が伴っていないようだ。低階層でよかった。
その他
公開:20/06/30 13:07

フィーカス

短編掌編をよく書いています。
時々何かに入賞したりします(2回)。
わけのわからない世界観を生み出したいです。

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