読んでも頭に入らないときは

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疲れていたのだろう。

私は帰りの電車で小説のページをめくっていたのだが、内容が頭に入ってこないことに気がついた。数ページ戻って読み返してみるが頭に入らない。何度か繰り返したがまったく頭に入らない。

私は諦めて、私が小説を読むのではなく、私が小説に読まれることにした。

小説は私のほうを見て第一章から読み始めたようだ。私は小説の邪魔をしないようにじっとしていた。小説は順調に読み進めているように見える。降りる駅に電車が着くころには、小説はすでに私を読み終えていたようだ。

私は電車を降り、ホームのベンチに座ってもう一度この小説を読んでみた。だがやはり頭に入らない。

私は疲れていたようだ。
その他
公開:20/01/29 14:18
更新:20/02/08 17:16

meerkat( 石や岩の多い荒地やサバンナ )

シュール・不条理・ナンセンス

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