モグラ国王の野望

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地下征服を目論むモグラ国王の肝煎りで設立されたモグラ地下鉄株式会社では、地底の国に住む小人の要請に応えるという名目で、地中列車「土竜号」を改良し、大深度の地下を掘り進みながら走行する「モグラー号」を開発中だ。
最近、モグラ界屈指の名門校でモグラ国王の母校でもある土竜鉱山大学の研究グループが、ダイヤモンドより硬い鉱石を発見し、これをモグラー号のドリルに使う目途がついた。
モグラ地下鉄株式会社では、人間界の英国が一九七六年に公開したSF映画『地底王国』に登場する探検車両のドリル戦車「アイアン・モール(鉄モグラ)」を参考に試作列車を完成させた。
ところが、試作列車がトンネルを作るために出した土が地上でモグラ塚となり、最大の天敵である人間に見つかってしまった。実験場はことごとく破壊され、モグラー号の実現は難航している。
だが、モグラ塚に物見櫓を設け、人間の行動を監視して実験場の再開に余念がない。
SF
公開:20/03/15 07:58
更新:20/03/15 08:01
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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