ネジ

6
5

 ネジをぽろぽろ落としながら、ギイギイと錆びた音を立てながら、さいごの太陽が空を横切っていく。ぼくはそれを見上げながら、裏路地を歩いている。「さいごの太陽です。お洗濯物が乾くのも今日までですよ」どこかの家でテレビがわめいている。ぼくはうつむく。影もうつむく。その影の中に、太陽が落としたネジを見つける。つま先で蹴ったら、ネジは、キラキラと輝きながらドブに落ちていって、そのキラキラした光を見ていたら、ぼくはますます寂しくなった。
ファンタジー
公開:20/03/08 18:47

六井象

超短編小説を中心とした、短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容