踏切

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 風呂から上がり、部屋を出る。夜の冷たさは火照った体を冷却するのに最適だ。

 鍵もかけずにぶらぶら歩く。数分歩くと踏切が現れる。足を踏み入れる。突然別世界に入ったような、孤独感に襲われる。

 カンカンカンカン

 線路の中盤、奇天烈な音が鳴り始め、遮断機がくらげみたいに降りてくる。特に急ぐことなく歩を進め、難なく踏切を抜ける。電信柱の「猫を探しています」という貼り紙が目に入る。

 カンカンカンカン

 踏切は抜けた。しかしどこまで行っても電車につけられているような、胃液じみた不安が捻れた臓器みたいに私の中に残っているのであった。
その他
公開:19/12/19 02:33
更新:19/12/19 12:48

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