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 小さな子供が自分の手の中のお菓子を見て、食べて、泣く。見て、食べて、泣く。
 その繰り返しを続けて、いよいよ大泣きしてしまい母親はおろおろと困ってしまった。
「どうしたの坊や。おやつが気に入らなかったの?」
 坊やに問いかけてみても、まだ単語を口にするのが精一杯の彼はひたすらに両手両足頭を振り「いやー!やー!」と主張するのみ。
 あれま、困ったわ。母親は抱っこや手遊びであやそうとするが気に入ってもらえない。
 母親だからといって言葉の喋れない我が子の心まで分かると思わないで。 
 この状況に泣き出したいのは自分も同じだと思いながらあやし続けると、ふとお菓子が現れた。
 様子を見ていた旦那がさっきと同じお菓子を持ってきて坊やに渡してやったのだ。
 すると坊やはすっかり泣き止んで、母親は驚いた。
「あら、あんた。よく分かったわね」
「何、俺も酒が無くなったら悲しくて仕方がねぇからな」
その他
公開:19/09/17 10:14
更新:19/09/17 10:15

トウヒ・ゲンカイ

昔から本が好きで、いつか自分も書きたいと思い描きながらも中々完成せずの日々。
とにかく完成させることを第一の目標にして、まずはショートショートに挑戦してみることにしました。
ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。

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