ハッピーエンドへの道のり

彼女と映画館デートに来たはいいがチョイスを間違えたようだ。
実写版・フランダースの犬。観客の多くがそのラストを鼻で笑った。
ネロの絵画が認められる。父親が現れる。ネロとパトラッシュは死ぬことなく幸せを掴む。
あまりにも原作とかけ離れた話に多くの人が駄作と言った。しかし彼女は名作と言った。
「フランダースの犬は悲しい最後になると皆が知っている。でも、そんな最期を幸せにするって素敵な事じゃない。私はこの作品を作った人達の優しさが大好きだな」
そう言われ、僕は何度もこの映画を見返している。
悲しい最期を幸せな最期に変える。勇気が湧いてくる。だから僕は彼女の家に向かう。
「お嬢さんとの結婚を許してください！」
お義父さんに頭を下げる。
「何度来ても無駄だ。娘は大企業の御曹司に嫁がせる予定だ」
何度言われても諦めない。僕と彼女の出会いを悲しい最期にしないために。
僕とお義父さんの戦いが今、始まる。