クラゲ花火

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お盆過ぎの夜の浜辺。
ビーサンを脱いだ僕らの足を洗う波。
『本当に花火上がるの?』
この夏、出会った女の子。
目の前は真っ暗な海。
「とっておきのね。ほらっ」
海面が明るくなり、小山に膨れると何かが空中へと浮かんだ。
『クラゲ?』
様々な色に点滅しながら、上空へと昇っていくクラゲ。
そして、傘が膨らんだと思った瞬間、ぽん!と音を立て、弾けた。
青く輝く触手が、花火のように海へと伸びる。
『きれい』
「しびれるだろ?」
静かに美しく咲くクラゲ花火。
「明日も楽しみだね」
『うん。私もクラゲみたく浮いてきたかも』
「えっ?」
背伸びした彼女からのキス。
『しびれをきらしたんだな』
僕はまだしびれていた。
『明日、はれるかな?』
「はれるかも、唇」
『天気だよ、ばか』
夜空に浮かぶ大量のクラゲが、ぽんぽん弾ける。
幻想的で圧巻のスターマイン。
遠くに見える水平線は、僕らのスタートラインに見えた。
青春
公開:19/08/21 23:20

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

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