ほてる

0
7

台風の定義について検索していたら深夜になっていた。
僕はシャワーを浴びて、変に艶っぽいベッドに横たわると、有線放送とミラーボールで遊んだ。
部屋の扉がノックされる。
「私です」
と女の声が言うが、私でわかる知り合いなど訪ねてくるはずがない。
ここは山梨。ロードサイドのラブホテル。バイクで旅をしていた僕は、激しい雨に降られて、仕方なくこのホテルに泊まることにしたのだった。
女は先住民だと言った。
先住民とはおかしなことを言う。セクシャルな商売の、なにか符合のような言葉だろうか。どうにも気味が悪くて、僕は応えずに、有線放送の音量を上げた。
やがて強かった雨風は静まり、女の気配も消えたと思ったそのとき、突風のようなもので、部屋の扉が乱暴に開いた。
するするっと部屋の中に入ってきた女の気配は、瞬く間に、僕を自らの中に注ぎ込んだ。ひどく熱い空気をまとった女は僕を蹂躙して、ダクト出ると、北上を続けた。
公開:19/11/04 14:57

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容